動画でみる グリホサートの安全性Chapter5グリホサートの残留基準値は緩和されたのではない

合庭

日本で、農薬の残留基準値において、これもラウンドアップの主成分であるグリホサートの基準値が緩和されたというSNSの投稿が結構な量あるのですけども、これについてお話を伺えますでしょうか?

唐木氏

そうですね、それも全くの誤解なのですけれども、非常にわかりやすいフェイクニュースなので広がっていますね。

合庭

そうなんです。先生は、内閣府の食品安全委員会専門参考人も歴任していらっしゃいますのでこの件についてもうちょっと詳細についてお話聞かせていただけますでしょうか?

唐木氏

そうですね、農薬の安全性をどうやって決めるのかは、かなり複雑な話なのですけれども、原理は簡単なのです。

どんな化学物質も「多量なら危険、少量なら安全」という「量と作用の関係」があるので、それを利用して安全な量を決めるというのが原則です。どうやって決めるのかというと、動物実験をやって、そして動物実験で何も起こらない量「無毒性量」というのを決めて、それに安全係数100分の1をかけて、人間で一生の間、毎日食べても安全な量、これを一日摂取許容量、略してADIという言い方もしますが、そういった安全な量を決めます。

ADI以下、一日摂取許容量以下の量であれば、毎日一生の間食べ続けても大丈夫ということが、今までで確認をされています。ラウンドアップの主成分のグリホサートについては、体重1kg当たり1日あたり1mgというのが、ADIという値になっています。体重あたりということになっているのは、これは大人と子供のことを配慮した数字であって、大人であれば体重50キロの人だったら1日50mgですね、子供であったら例えば体重15キロの子供であったら1日15mgというふうになる、そんな決め方をしているということになります。

唐木氏

問題は、そうやって一日摂取許容量を決めるのですが、実は、ラウンドアップ(の主成分グリホサート)というのはいろんな作物に使います。ですから、それぞれの作物にどれだけのラウンドアップ(の主成分グリホサート)が残留していてもいいのかという作物ごとの基準は、また別途決めなくてはいけないわけですね。

それを全部食べても、一日摂取許容量を超えないように、その内訳を作るわけです。その内訳というのは、例えば国際的な食品の貿易であるとかですね、その国で使用しているかいないかとか、いろんな事情によって内訳は変わるのですが、内訳は変えても、トータルのその一日摂取許容量の中であれば安全性を守られるということになります。

本題に入って、日本では、一日摂取許容量の内訳である残留基準値を変えた。
これを緩和したからけしからん、という話があります。全部緩和されていたわけではなくて、厳格化されたものもあります。例えば、小麦とかソバとか菜種などの33品目は緩和をされました。でも、きのこ・インゲン・えんどう豆・肉類などの35品目は逆に厳格化されているのですね。その他の102品目は変更されずにそのまんまなのです。これはさっきお話したように、一日摂取許容量の内訳ですから、ここをどう変えようと、このトータルさえ変えなければ安全には何の支障もないのです。

唐木氏

そこが非常に大きな誤解で「内訳変えたから安全が脅かされた」、これは非常に大きな誤解ですが、そういった複雑な仕組みでこれが決まっているということなので、誤解が生じるのは仕方がないですけれども、私たちとしても誤解をなるべく解消するように丁寧に説明をしなくちゃいけないということですね。

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