
ラウンドアップをダメと主張するのはなぜ?と気になっている方もいるのではないでしょうか。ラウンドアップは、世界各国で安全性が確認され使用されている除草剤です。しかし、一部のSNSなどでは、ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートにあたかも発がん性があるかのような主張が見受けられます。
また、あたかも世界各国がラウンドアップの使用を禁止しているかのような主張も見られますが、これも間違った情報によるものです。不正確な情報を鵜呑みにせず、公的機関の情報に基づいて判断しましょう。
この記事では、「ラウンドアップはダメ」という誤認が生じた理由や、世界各国における実際の規制状況について解説します。
ラウンドアップがダメな理由は何ですか?

ラウンドアップがダメと主張される理由は、そのほとんどが誤認に基づいています。ラウンドアップは世界各国の公的機関によって安全性が確認され、使用されています。
ラウンドアップは、40年以上にわたって使用されており、現在も世界中で広く普及している除草剤です。ここでは、ラウンドアップが現在も使われている理由や、世界各国の使用状況を紹介します。
ラウンドアップは安全性が認められた除草剤
日本では、1980年にラウンドアップの登録申請が行われ、それ以来40年以上に渡って使用されてきました。ラウンドアップは庭や玄関、車庫、駐車場、空き地など、一般家庭の雑草防除にも利用できる除草剤です。その安全性と使いやすさから、初めての除草剤にも適しています。
しかし、一部のSNSなどでは、ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートに対し、あたかもヒトの健康に影響があるかのような誤解が見られます。
グリホサートは食品安全委員会の評価によって、発がん性や遺伝毒性がないと確認された成分です。また日本国内だけでなく、米国環境保護庁(US EPA)や欧州食品安全機関(EFSA)、カナダ保健省病害虫管理規制局(PMRA)といった世界各国の規制機関でも安全性が確認されています。
そのため、ラウンドアップ製品はやっかいな雑草を安全に防除できる除草剤として、世界各国で広く活用されています。
(参考:『ラウンドアップの現状説明会』)
ラウンドアップが広く用いられている理由

ラウンドアップが広く用いられている理由は安全性だけではありません。ラウンドアップは防除できる雑草の種類が幅広く、一年生の雑草はもちろん、防除困難な多年生の雑草も根までしっかりと枯らせます。
以下はラウンドアップで防除可能な雑草の一例です。
・ドクダミ
・たんぽぽ
・イヌタデ
・オオバコ
・ハルジオン
・スベリヒユ
・スギナ
・ススキ
ラウンドアップは根が深く枯らしにくいスギナや、大型の多年生雑草にも効果が期待できるため、幅広い場面で使用されています。
ラウンドアップ製品は、使用場面によってラインナップが2種類に分かれています。農業用ならラウンドアップマックスロード、一般家庭での利用ならラウンドアップマックスロードALがおすすめです。
ラウンドアップ製品 | 使用場面 |
---|---|
ラウンドアップマックスロード (うすめて使う希釈タイプ) |
農作物を雑草害から守るなど広い範囲を効果的に雑草防除 |
ラウンドアップマックスロードAL (そのまま使うシャワータイプ) |
家周りや庭、駐車場など狭い範囲を簡便に雑草除去 |
なぜラウンドアップを使用するのはダメと主張するのか?
SNSなどでは、ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートに発がん性や遺伝毒性があるとして、あたかも世界各国で使用が禁止されているかのような主張がなされることがあります。しかし、この主張は以下の4点で誤りです。
- グリホサートの発がん性や遺伝毒性は、世界保健機関(WHO)や世界食糧農業機構(FAO)、米国環境保護庁(US EPA)、欧州食品安全機関(EFSA)をはじめとした各国規制機関によって否定されている
- 一部の国や地域で使用が制限されているとはいえ、農業用では変わらず使用されており、農業用以外の使用規制もその多くはグリホサートに限らず化学農薬全般に対する措置である
- グリホサートの使用そのものを禁止する国や地域も、実際の規制対象はごく一部に限られる
- かつてグリホサートの輸入規制を行っていた国も、その多くが2019年から方針転換して規制を解除している
こうした事実を見ると、あたかもラウンドアップ製品の有効成分グリホサートの使用が全面的に禁止されているかのような主張が間違っていることが分かります。実際には、現在もほとんどの国や地域においてラウンドアップ製品を使用することが可能です。
(参考:『ラウンドアップの現状説明会』)
ラウンドアップの実際の使用状況

POINT
- ほとんどの国でグリホサートの使用が認可されている
- ラウンドアップ製品は現在でも世界各国で販売も使用もされている
- 公共の場などの景観維持の観点から一部の国や地域では使用されることが禁止されているがこれは化学農薬全般の使用を制限する措置などでありラウンドアップに限ったことではない
それでは、世界各国におけるラウンドアップの使用状況を見てみましょう。ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートや農薬に関する規制のある国や地域を以下にまとめました。
国や地域 | グリホサートに対する規制 | 農業用以外の使用規制対象 |
---|---|---|
サウジアラビア | 2019年に規制解除 | - |
クウェート | 2019年に規制解除 | - |
アラブ首長国連邦 | 2019年に規制解除 | - |
バーレーン | 2019年に規制解除 | - |
オマーン | 2019年に規制解除 | - |
ベトナム | 輸入・使用禁止 | - |
マラウイ | 2019年に輸入停止解除 | - |
フランス | ラウンドアッププロ360のみ規制 | 化学農薬全般 |
スリランカ | 茶・ゴム以外規制 | - |
ベルギー | - | 除草剤全般 |
スロヴェニア | - | 除草剤全般 |
バミューダ諸島 | - | 希釈する化学農薬全般 |
カナダ(バンクーバー) | - | 公共の場と家庭園芸で化学農薬全般 |
オランダ | - | 舗装面と非農耕地で化学農薬全般 |
上記の表を見ても、グリホサートを全面的に規制する国や使用場面は限られており、ほとんどの国で使用が認可されていることが分かります。
(参考:『ラウンドアップの現状説明会』)
なぜラウンドアップの使用をダメと主張するの?

それでは、ラウンドアップの使用はなぜダメと主張されるのでしょうか。その背景には、以下のような誤解があります。
- さまざまな病気と関係があると誤解されている
- 輸入小麦を原材料とするパン等から検出されたことで注目を浴びた
- ベトナム戦争で使われた枯葉剤であるとの間違った認識
ここでは、科学的根拠に基づいて、ラウンドアップ製品に関するよくある誤解に回答します。
さまざまな病気と関係があると誤解されている
1つ目の誤解は、ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートには強い毒性があり、さまざまな病気と関係があるというものです。しかし、食品安全委員会はグリホサートの毒性はADI(一日摂取許容量)の範囲内であれば、人体への影響はないという見解を発表しています。なお、ADIとは、人間が一生涯毎日摂り続けたとしても健康に問題がないと推定される1日当たりの摂取量のことです。
ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートの安全性は、急性毒性(短期間の摂取で健康に悪影響を及ぼすこと)、慢性毒性(食べ続けると健康に悪影響を及ぼすこと)のいずれの観点からも確認されています。ラベルに記載された適用範囲や使用方法、使用上の注意を遵守すれば、人の健康に悪影響はありません。
ラウンドアップがさまざまな病気と関係があるかのような主張には、科学的なデータによる裏付けがなく、その恣意的な論調に対して強い批判もなされています。
パンから検出されたことで注目を浴びた
2つ目の誤解は、ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートがパンから検出されたため、使用を禁止すべきであるというものです。
しかし、この主張は誤りです。なぜなら農薬は、数多くの試験によって安全とされる量を見極め、さらに安全係数をかけて、人が摂取しても人の健康に何の影響もない量が定められています。農産物は、この基準を超えるものが市場に流通しないように制限するための「残留農薬基準値」によって安全性が守られているのです。
そもそもグリホサートが食品から検出されること自体は問題ではありません。なぜなら分析法が進歩して、これまでは測定できなかったような微量の化学物質も測定できるようになっただけだからです。微量の化学物質は数多くの食品に含まれていますが、ごく微量であれば健康に影響することはありません。ADIに基づき設定された残留農薬基準値という量の規制によって安全性が守られているため、一日摂取許容量(ADI)の範囲内であれば、健康には何の影響もありません。
ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートのADIは体重1kgにつき1日当たり1mgです。つまり、体重が50kgの人の場合、毎日一生涯50mgのグリホサートを摂取するとADIに達します。
しかし、この数字は現実的ではありません。例えば、パン1斤から0.07ppm(1mg/1kg)のグリホサートが検出されたとすると、毎日約1,920斤(714kg)のパンを生涯に渡って毎日食べ続けなければ、ADIには達しないことになります。
もし食品からグリホサートが検出されたというニュースを見たら、どのくらいの量が検出されたのかを確認するとよいでしょう。上述したように、残留農薬基準値がADIを基に設定されていること、ADIを超えるような摂取量は現実的ではないことを知っていれば、人の健康にまったく害がないことが理解できます。
(参考:『Chapter6パンやお菓子からグリホサート成分がごく微量検出されたとしても、一日摂取許容量(一生の間、毎日食べ続けても安全な量)以内なら安全性は守られている』)
ベトナム戦争で使われた枯葉剤であるとの間違った認識
3つ目の誤解は、ラウンドアップ製品がベトナム戦争で使用された枯葉剤であるという間違った認識です。ベトナム戦争で使用されたのは、枯葉剤(オレンジ剤、エージェントオレンジ)であり、ラウンドアップ製品とは一切関係ありません。
またベトナム戦争において枯葉剤が問題視された理由は、枯葉剤に含まれる猛毒のダイオキシンが、土壌汚染や健康被害などさまざまな問題を引き起こしたためです。
しかし、ラウンドアップ製品にダイオキシンは含まれていません。また製造工程において、ダイオキシンが副産物として生じることもありません。ラウンドアップの安全性は枯葉剤とは何の関係もありませんので、引き続き安心してご使用いただけます。
ラウンドアップは世界各国で安全性が確認されている除草剤!
ラウンドアップは世界各国で安全性が確認されて使用されている除草剤です。SNSなどでは、あたかもラウンドアップ製品の有効成分グリホサートに対し、発がん性や遺伝毒性があるかのような誤った言説が見られます。しかし、グリホサートの安全性は日本の内閣府食品安全委員会をはじめとした世界各国の規制機関で認められていますので、ラベルに記載された適用範囲や使用方法、使用上の注意を遵守すれば、引き続き安心してご使用いただけます。
ラウンドアップに対する科学的根拠のない主張に惑わされず、公的機関の評価に基づいて判断するようにしましょう。
よくあるご質問
- 日本ではグリホサートは禁止されていますか?
- 除草剤ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートは、日本で規制されていません。
- グリホサートの禁止国は2024年にどこになりますか?
- ラウンドアップはフランス、ベルギー等の一部の国や地域では使用されることが禁止されています。これは、公共の場などの景観維持の観点から化学農薬全般を制限する措置などであり、除草剤のラウンドアップに限った話ではありません。
- ラウンドアップの人体への影響は?
- 米国環境保護庁(US EPA)は、ラウンドアップ製品の有効成分グリホサートに対し、いかなる人体への健康リスクも認めていません。